広報用に届いた写真、SNSで見つけた動画、説明資料へ載せたい音声。その素材がAIで作られたかを確認する入口が増えました。Googleは2026年10月7日、日本時間23時に、の一般公開を発表しました。画像・動画・音声を対象に、全世界へ英語で提供する案内です。Googleの公開発表
ただし、透かしが見つからないことは、実写や本物の証明にはなりません。見つかった場合も、描かれた出来事が正しいとは限りません。 仕事では「AI利用の手掛かり」「素材の出所」「説明内容の裏付け」を別々に確認すると、結果を過大に扱わずに済みます。
本稿は2026年10月8日時点の公式情報と公開画面を確認したものです。編集部は初回の追加規約画面まで閲覧し、同意やファイル送信は行っていません。検出機能は未試用で、以下の例は結果の読み方を練習する架空教材です。
1. 新しく使えるのは、対応する透かしを調べるポータル
は、生成・編集時に素材へ人には見えない識別情報を埋め込む技術です。Detectorは、そのを確認するための窓口です。目で見えるロゴを探したり、画像の見た目から「AIらしさ」を推測したりする方法とは、確認している対象が異なります。Google DeepMindの仕組みの説明
2025年には報道関係者などに向けた早期版が案内されていました。今回の新しい出来事は、専用ポータルの利用対象が一般へ広がったことです。Googleの発表は対応先としてGoogle、OpenAI、NVIDIA、Kakaoを挙げ、Appleについては今後の予定としています。挙がっている企業の全製品・全世代の出力を一律に確認できる、と読み替えないでください。
仕事で期待できるのは、素材を受け取ったときに、対応する透かしの手掛かりを一つ増やすことです。AIの利用を禁止している案件なら追加確認のきっかけになり、AI使用を明示して使う案件なら、制作担当者へ編集経緯を尋ねる材料になります。検出だけで掲載許可まで確定する機能ではありません。
| 確認したいこと | SynthID Detectorの結果だけで決められるか |
|---|---|
| 対応する透かしが検出されたか | 検出結果として記録する対象 |
| AIが一切使われていないか | 未検出だけでは決められない |
| 撮影日・撮影場所が説明どおりか | 原資料や撮影者への確認が必要 |
| 写っている商品や出来事が実在するか | 内容の事実確認が必要 |
| 自社の広告へ掲載してよいか | 利用許諾と社内の掲載判断が別途必要 |
2. 「検出あり」「検出なし」「未確認」を混ぜない
結果を記録するときは、まず画面の文言をそのまま残します。「検出なし」を担当者の解釈で「実写」と書き換えると、後から何を確認したのか分からなくなります。対象外、通信失敗、確認途中も、検出なしの欄へまとめないことが大切です。
SynthIDは、一般的な切り抜きや圧縮などがあっても残るように設計されています。一方、Googleの関連ヘルプは、変更が重なると検出できない可能性も説明しています。「加工したら必ず消える」「どんな加工をしても必ず見つかる」のどちらも、採用判断の前提にできません。Googleの透かしに関するヘルプ
例えば、存在しない施設をAIで描いた画像から透かしが検出されたとしても、Detectorが「この施設は実在しない」と調査したことにはなりません。逆に、非対応の生成ツールで作られた画像に対応透かしがなければ、検出結果だけからAI利用を否定できません。生成方法の確認と、画像に添えられた説明の検証は別の作業です。
| 記録する状態 | 社内で使える言い方 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| 対応透かしを検出した | 対応するAI生成・編集の手掛かりが検出された | この投稿の内容はうそだ |
| 対応透かしを検出しなかった | 今回の検査では対応透かしを検出しなかった | 人間が撮影した本物だ |
| 検査が完了しなかった | 未確認。理由と再確認先を記録する | AIである確率は0%だ |
この表は業務用の記録区分であり、現在の画面に同じ名前の三つの判定が並ぶという意味ではありません。公式画面の結果を、分かりやすい数字へ勝手に置き換えることも避けます。編集部は正答率や検出確率を測定していません。
3. 素材の履歴を調べる機能とは、役割を分ける
を知る方法には、透かしのほか、素材の作成・編集の情報を参照する方法があります。は、その出所や編集履歴を扱う仕組みです。GoogleのGeminiヘルプでは、SynthIDとContent Credentialsを別の確認技術として説明しています。Geminiの確認結果の説明
違いを押さえると、「AIの透かしがないから出所不明」「履歴があるから内容も正しい」という飛躍を避けられます。撮影者が分かる資料でも、添えられた日付や説明が誤っている可能性はあります。履歴が見つからない素材でも、それだけで改ざんされたと断定はできません。
なお、専用DetectorとGemini内の確認機能は同じ画面ではありません。10月8日に取得したGeminiヘルプは、SynthIDの対象を現時点ではGoogleのAIによる内容と説明しています。一方、新Detectorの発表はパートナー企業にも触れています。Gemini側のファイル容量・動画の長さ・利用回数を、そのまま専用Detectorの上限として案内しないようにします。
引用が付いていることと、引用先が回答を裏付けていることを分ける考え方も同じです。資料の根拠を人が確認するKnowNoteの記事では、記録の存在と内容の正しさを別々に検収しています。
4. 送信前に確認することと、今回確認できた範囲
公式ポータルを開くと、編集部の環境では初回に追加利用規約とプライバシー通知が表示されました。続行には「Agree and continue」が必要だったため、今回はその先へ進んでいません。一般公開の案内と、個々のアカウントで実際に利用できたことは分けて記録します。
同画面の通知は、アップロードした元のメディアを結果返却後に直ちに削除し、不正利用対策のための識別情報をユーザー識別子と結び付けて24時間保存すると説明しています。ファイルを送る処理であり、端末内だけの検査と扱うことはできません。送信前には、その素材を外部サービスへ渡せるかを社内の扱いに照らして確認します。
また、日次の利用制限への言及がありましたが、今回、具体的な回数、対応拡張子、ファイル容量、料金や無料枠は確認していません。利用開始時に現行画面を確認してください。
追加規約には、画面を迂回したプログラム送信や大量照合などへの制限もあります。公開Web画面をそのままとして業務へ組み込める、と考えない方がよいでしょう。本稿の教材は人が結果を整理するためのもので、自動送信は行いません。
5. 広報素材1件を、三つの欄で確認する
例えば、社内イベントの告知へ使う会場画像を受け取った場面を考えます。最初に、画像を渡した人と元ファイルを確認します。次に透かしの検査結果を記録し、最後に「写真は実際の会場か」「今回の開催日に使える会場か」を別の情報で確かめます。AI生成のイメージ図として採用する場合でも、実写と誤解させない説明が必要です。
担当者に渡す確認メモは、次の程度で始められます。空欄は空欄のまま残し、「取得できなかった」と「存在しない」も区別します。
素材ID:用途・掲載予定:入手元・受領日・作成者への連絡先:元ファイル名/受領後に行った編集:
1. 検査の記録使用サービス/確認日時:画面の結果文言:完了・未完了と、その理由:
2. 出所と内容の確認作成・編集の経緯を誰に確認したか:撮影日・場所・説明文を裏付ける資料:まだ分からない点:
3. 掲載判断利用許諾・AI利用表示の確認:採用/保留/差し替えと理由:確認担当者:結果の読み方を練習する教材ZIPには、この空欄メモと、架空の検査状況4件、記載例を入れました。実際の画像・音声やDetectorの実測出力は含みません。検出機能を試した記録のように転用せず、担当者同士で判断の言い換えを確かめる用途に使ってください。
教材では、透かし未検出の転載画像について「本物と確認済み」とする記述を修正したり、AI編集の手掛かりがある会場イメージについて、撮影場所を別途確認したりします。合格条件は、すべての素材をAIか実写かに二分することではありません。未確認を残し、次に誰へ何を確認するかまで書けることです。
出所、検査結果、掲載判断を別欄にしておけば、後日、作成者から説明が届いたときも、どの根拠で判断を変えたかを追えます。まずは公開してよい素材1件で記録方法を揃えることが、Detectorを業務へ取り入れる現実的な出発点です。