問い合わせを担当部署へ振り分ける、AIの回答を点検する、候補から一つを選ぶ。こうした「文章を書く前後の判断」を返すAIが、TypeSafe AIのJevです。2026年10月14日付で Jev 1.14.0 が発表され、公式モデル一覧にも同日から利用可能と記載されました。発表の正確な時刻・タイムゾーンは確認できていません。
今回の画像入力と位置検出は、本番品質を保証する機能としての公開ではありません。公式も試作向けと明記しています。本記事は2026年10月15日時点の仕様解説です。教材のローカル検査は行いましたが、Jevの実APIによる日本語精度・画像認識・速度・請求額の比較は未実施です。
最初に見るべきなのは、派手な画像デモだけではありません。既にJevを使っているなら、モデル名の指定と、日本語の判断がどう変わるかを先に確認できます。この記事では更新点を整理し、旧版からの移行と、小さな画像試作を分けて進めます。
Jevとは?文章ではなく、決められた形式の判断を返すAI
Jevは自由な説明文やメール本文を生成するチャットモデルとは出力形式が違います。Choiceは選択肢、Scoreは順序のある評価段階、Noulは真偽の確率を返す仕組みです。例えば「請求・技術・営業・要確認」の候補を渡し、問い合わせの担当分けに使います。基本と業務例はJev入門にまとめています。
今回加わったBoxは、画像内の対象を囲む位置を返します。「この画像について長く説明して」と頼む代わりに、次の処理で使う位置を受け取るわけです。ただし、その値を使ってクリック、承認、公開を実行する部分は、別途アプリ側で作る必要があります。
1.13から何が変わった?モデル更新と実験機能を分ける
| 項目 | 今回の変更・条件 |
|---|---|
| Jev 1.14.0 | 新しいモデル。提供元は全般的な小改善と、特に多言語対応の改善を見込むと説明 |
| 画像入力 | 今回の開放対象。1.14だけでなく1.13でも利用可能。専用ヘッダーが必要 |
| Box | 1質問につき対象を囲む矩形を一つ返す。1.14が必要 |
| 長い文脈 | 専用ヘッダーで両版の上限を拡張。通常設定とは別 |
| 日本語の業務精度 | 改善幅はこの記事では未測定。自分の入力と基準で比較する |
公式発表は、モデル1.14の更新と、明示的に有効化する「danger zone」の機能開放を同時に案内しています。「1.14に変えれば画像も自動で有効」「画像は1.14専用」と読むと、条件を取り違えます。画像の要件はImages、位置検出の要件はBoxで確かめてください。
まずモデル名を固定する。jev-latestは確認時点では旧版
| 指定する名前 | 2026年10月15日の公式資料での対応 |
|---|---|
| jev-1.13.0 | 比較用の旧版を固定 |
| jev-1.14.0 | 新版を固定 |
| jev-latest | 1.13.0を指す |
| jev-preview | 1.14.0を指す |
発表記事は、jev-latestを約1週間後に1.14へ切り替える予定としています。日付に直すと10月21日ごろが目安ですが、正確な切替日時の約束ではありません。既存処理を同じ条件で保ちたいなら版を固定し、応答のmodelも保存します。
{ "model": "jev-1.14.0", "state": { "message": "請求書は届いています。ログインだけできません。" }, "questions": { "department": { "type": "choice", "instructions": "問い合わせを担当窓口に分類してください。窓口を一つに決められない場合はreviewを選んでください。", "criteria": { "billing": "請求書・支払い・請求先変更の依頼", "technical": "ログインや画面の不具合への対応依頼", "sales": "導入相談・契約の拡大に関する依頼", "review": "複数の依頼が混ざる、または情報が足りない" } } }}同じJSONのmodelだけを1.13.0と1.14.0で変えれば、入力の違いを混ぜずに比較できます。APIリファレンスのエンドポイントは POST https://api.typesafe.ai/v1/systemone です。認証用のAPIキーは環境変数などで渡し、記録表には残しません。
日本語の改善は、間違えやすい問い合わせで確かめる
多言語の改善方針は、日本語で必ず正確になるという保証ではありません。公式は現在も英語を最も得意な言語とし、他言語は自分のデータで検証するよう案内しています。言語対応
- 1「請求という単語がある」ではなく「何への対応を依頼しているか」を担当分けの基準にします。複数依頼と情報不足は要確認に戻す、と先に決めます。
- 2否定、敬語、日英混在、曖昧な依頼、複数の用件を含む例を集め、人が期待する窓口を記録します。教材には架空の10件を入れています。
- 3旧版・新版へ同じ入力と質問を渡し、実際のmodel、選択肢、confidence、入力トークン、所要時間を残します。
- 4一致率だけでなく、旧版で正しかったものが新版で誤る例、要確認へ戻せなくなる例を確認します。既存のしきい値もそのまま流用せず検証します。
10件は接続と比較手順の確認用で、採用判断に十分なベンチマークではありません。運用前には実際の問い合わせ分布と、人が担当分けに迷う例を増やします。Choiceのconfidenceも、回答の確率分布の集中度を表す指標であり、その一件が正しい確率と同一視できません。confidenceの説明
画像とBoxで試したい、三つの小さな業務
| 試作する仕事 | モデルに尋ねること | 人・コード側で確かめること |
|---|---|---|
| 商品写真の整理 | 見本写真に近い候補か。対象の商品はどこか | 候補一覧と枠を人が確認してから採用する |
| 操作マニュアルの画像整理 | 目的のボタンがあるか。画面のどの位置か | 枠を示すところまでにし、画面操作は別途確認する |
| スキャン書類の確認補助 | 署名らしい記入があるか。候補領域はどこか | 文字の読み取り、本人性、書類の有効性とは分けて扱う |
画像はstateだけでなく、instructionsやcriteriaにも置けます。たとえば見本画像で選択肢を定義する使い方です。最初の試作は、対象画像を一度stateへ置き、各質問が同じ画像を参照する形が分かりやすいでしょう。画像の配置方法
Boxには「見つからない」という回答がなく、対象が写っていなくても座標を返します。存在を尋ねるNoulなどを別に併用し、画像と枠を人が照合します。公式に全用途共通のconfidenceしきい値はありません。
Boxはleft・top・right・bottomを0〜1の比率で返します。画像の幅・高さを掛けるとピクセル座標になります。教材では640×400の自作図に、架空の座標0.25・0.25・0.75・0.75を当てると、左160・上100・右480・下300になることを確認します。Box仕様
APIを使わず確認できる教材と、任意の試用手順
Jev 1.14移行確認教材をダウンロード。日本語比較用の空欄付きCSV、640×400の自作PNG、画像リクエスト、架空の応答、検査スクリプトを同梱しました。Python 3.10以降の標準ライブラリだけで動き、Macで確認しています。Windows・Linuxでは未確認です。
python3 selftest.pypython3 inspect_box.py mock-response.json --width 640 --height 400ローカルの8項目の検査では、座標変換と低い存在確率の扱いを確認し、モデル違い・逆向きの枠・範囲外の座標・NaN・真偽値の混入・回答欠落を拒否しました。これは教材の処理の検査です。Jevの認識成績ではなく、実測した成功率もありません。出力のnext_actionは常にhuman_review_onlyで、自動操作は行いません。
実APIを試す場合は、利用可能なTypeSafeアカウントとキーを用意し、料金とデータ送信条件を確認します。API型のサービスなのでモデルをMacへインストールする必要はありませんが、オフラインでは動きません。クイックスタートに沿って準備した後、教材のフォルダで次の例を使えます。
curl --fail-with-body https://api.typesafe.ai/v1/systemone \ -H "Authorization: Bearer $TYPESAFE_API_KEY" \ -H "TypeSafe-Danger-Zone-Images: true" \ -F "request=<request.json;type=application/json" \ -F "photo-file=@sample.png;type=image/png" \ -o response.json &&python3 inspect_box.py response.json --width 640 --height 400request.jsonはmodelをjev-1.14.0に固定し、中央の橙色の矩形について、visible(Noul)とregion(Box)を同時に尋ねます。検査スクリプトは形式と数値を調べるだけで、正しく橙色の矩形を認識したかは画像と照合する必要があります。単純な図に成功しても、実写真や日本語帳票に同じ成績を期待しないでください。
画像はPNG/JPEGで、辺の長さと総画素数の両方に制限があります。256×256は面積不足です。スマートフォンの写真は向きとサイズを調整し、EXIFの表示向きだけに頼らないようにします。同じ画像参照を何度も置くと展開時には繰り返し加わります。画像の制限・前処理を確認してください。
料金と長い文脈:単価が同じでも一回の費用は変わる
直営の公開価格は両版とも入力100万トークンあたり0.042米ドルで、出力は無料です。画像も入力トークンに含まれます。料金の見積もりには返却されたusage.input_tokensと再試行回数を記録し、「写真1枚なら一律いくら」とは置かないようにします。モデルと料金/画像トークン
通常は1リクエスト64k・1質問32kです。TypeSafe-Danger-Zone-Long-Context: true を付けると、両版ともそれぞれ262kへ拡張されます。公式は長い入力では遅くなり、精度も下がると説明しています。画像用とは別の設定なので、短い画像試作のために長文脈まで有効にする必要はありません。長い文脈の条件
移行の順番は、日本語の既存処理、次に小さな画像試作
既存の担当分けを改善したいなら、まずモデルを固定してテキストだけを比較します。画像に使いたいなら、対象がある例・ない例・複数ある例をそろえ、枠の表示と人の確認まで作ります。二つを同時に変えなければ、挙動が変わった理由を追いやすくなります。
新しい入力と出力が増えても、判断結果の扱いを自分で検証する必要は変わりません。ローカル実行を含めて他の選択肢も比べたい場合は、Jev・Laya・Jeff・Micaの比較、confidenceの読み方を深める場合はDoubtBenchの公開データ再採点も参照してください。