社内資料の内容を読み、必要なら注文情報を調べ、結果を日本語で返す。このような仕事を手元のパソコンで組み立てたい人に向け、Liquid AIが新しいモデル「LFM2.5-24B-A2B」を公開しました。注目点は、文章を生成する速さだけでなく、外部の道具を使う処理へ組み込めることです。
この記事ではモデルの推論を実行していません。 2026年10月14日に確認した公式仕様と、読者が試せる日本語の確認手順をまとめています。手元のMacは空き容量に余裕がなく、約14.5GBのモデル取得を見送りました。掲載する架空の入力と期待条件は、実際の成功例や性能測定ではありません。
10月13日に公開。従来のLFM2-24Bとは別のモデル
Liquid AIは10月13日付の公式発表で、学習済みの重みとPlaygroundを同日提供すると案内しました。日付は確認できますが、発表の正確な時刻とタイムゾーンは不明です。公式GGUFの履歴には同日06:11:44 UTCの配布コミットがあり、10月14日朝の確認時点で24時間以内のコミット記録です。ただし、コミット時刻と公開設定へ切り替えた時刻が同じとは限りません。公式GGUFの変更履歴
名前が似ている「LFM2-24B-A2B」は前の世代です。今回のLFM2.5版は、回答前に推論する設計、より長い文脈、ツール利用に向けた学習を組み合わせています。前のモデルの日本語試用結果や速度を、新しいモデルの実測として読み替えないようにします。モデルを探すときは「2.5」と「24B-A2B」の両方を確認してください。
| 見る項目 | 今回の公式仕様 | 業務での読み方 |
|---|---|---|
| モデルの総量 | 24.0Bパラメータ | 保存・読み込みには大きな重みが必要 |
| 1トークン当たりのactive | 2.45Bパラメータ | 計算に使う部分の大きさ。必要メモリではない |
| 文脈の長さ | 131,072トークン | 実行時に常に最大長を確保する必要はない |
| 入出力 | テキスト。日本語を含む16言語 | 音声認識や画像読み取りは別の処理 |
| 主な用途 | 推論・ツール呼び出し | 接続先の実行プログラムと組み合わせる |
仕様の出典は公式モデルカードです。「日本語対応」と書かれていても、金額の保持、敬語、社内用語、長文の要約が同じ精度でできるという意味ではありません。自分の仕事の条件を小さく切り出して確認します。
「2B active」でも、2GBのパソコン向けとは限らない
このモデルは、処理ごとに専門部分を選ぶMixture-of-Experts方式を使います。1回の計算に関わる部分を絞っても、残りの重みが不要になるわけではありません。A2Bという名前から「小さな2Bモデルと同じ容量で動く」と判断すると、ダウンロードや起動の段階でつまずきます。
公式GGUFには複数の精度があります。まず比べたいのは、ファイルの大きさと、使うソフトがその形式を読み込めるかです。ファイル容量は、実行時のメモリ使用量や空きディスクの必要量そのものではありません。 OS、他のアプリ、入力の長さ、同時に処理する件数の分も必要になります。
| 公式配布ファイル | ファイル容量(10進GB) | 選ぶ前の確認 |
|---|---|---|
| QAD-Q4_0 | 約13.58GB | 量子化に合わせた学習版。今回の独自比較なし |
| Q4_K_M | 約14.53GB | 本記事の導入例で指定する版 |
| Q5_K_M | 約17.03GB | さらにディスク・メモリの余裕が必要 |
| Q8_0 | 約25.49GB | 総量だけで32GBに近づくため慎重に確認 |
公式ファイル一覧では、Q4_K_Mは14,526,258,464バイトです。32GB級のメモリを持つパソコンを検討の出発点にするのは編集上の目安で、メーカーの最低要件でも動作保証でもありません。短い入力でロードし、メモリの余裕を見てから文脈を伸ばします。16GB環境で快適に動くと本記事からは判断できません。
Macの統合メモリはCPUとGPUで共有します。一方、WindowsやLinuxではGPUメモリとシステムメモリの分担が変わります。同じ32GBという表記だけで同じ速度になるとは限りません。CPUへ処理を分ける設定もありますが、使えることと、待ち時間が実用的なことは別に確かめる必要があります。
短い畳み込みとAttentionを組み合わせる仕組み
モデル内部では、短い範囲の情報を扱う畳み込みと、文中の関係を見るAttentionを組み合わせています。公式カードでは40層のうち30層を短い畳み込み、10層をGQAというAttentionの方式と説明しています。専門的な設計の違いは、実行ソフトの対応状況にも関係します。構成の一次資料
利用者が最初に見るべきなのは、仕組みの略語の数より「自分のランタイムがこのモデルを扱えるか」です。ランタイムは重みを読み、実際に計算するソフトを指します。モデル名が一覧に出るだけでは十分ではなく、短い日本語入力に最後まで回答できることを確認します。
また、128K級の文脈は、手元の全資料が自動で検索される機能ではありません。どの文をモデルへ渡すかは、アプリ側が決めます。資料を検索して関連部分を渡す仕組み、長い会話を整理する仕組み、回答に出典を付ける仕組みは、それぞれ別に必要です。まずは1枚の資料を渡し、情報の取り違えがないかを見るほうが判断しやすくなります。
試し始める方法:画面で使うか、ローカルサーバーで使うか
公式は、llama.cpp、MLX、LM Studio、Transformersなどの実行経路を案内しています。MacのApple SiliconではMLX、macOS・Windows・Linuxをまたぐ構成ではllama.cppが選択肢になります。ただし、本記事ではそれぞれのOSやバージョンで起動できることを実測していません。llama.cppの公式案内、MLXの公式案内
- 1使うPCの空きディスクとメモリを確認する。モデルファイル以外の余裕も残す。
- 2実行ソフトを用意し、正式名「LiquidAI/LFM2.5-24B-A2B-GGUF」の配布元を開く。初回取得には通信が必要。
- 3最初はQ4_K_Mなど1種類を選ぶ。Baseと付く学習用の版や、別サイズと取り違えない。
- 4文脈は小さく始める。本記事の例では8,192トークンとし、モデルの最大値を最初から確保しない。
- 5架空の短い文章を1件送信し、回答の終了、数字、否定条件を確認してから資料や件数を増やす。
コマンドを使う場合は、対応するllama.cppを別途用意したうえで、次のようにモデルのファイル名を指定できます。これは公式GGUFの使用例を短い文脈向けにした導入例で、編集部での実行成功を示すログではありません。初回は約14.5GBのダウンロードが発生します。
llama-cli -hf LiquidAI/LFM2.5-24B-A2B-GGUF \ --hf-file LFM2.5-24B-A2B-Q4_K_M.gguf \ -c 8192 \ --temp 0.1 --top-k 50 --repeat-penalty 1.05アプリやスクリプトから呼び出すなら、ローカルのHTTPサーバーを立てる方法もあります。localhostのAPIと、クラウドのAPIは接続先が異なります。同じ形式の要求を送れることは、通信先や課金先が同じという意味ではありません。普段のクラウド設定をそのまま使わず、接続先を確認します。
日本語では、流暢さより先に3つの条件を確かめる
業務で必要なのは、自然に見える説明だけではありません。締切を取り違えないこと、資料にない金額を作らないこと、注文番号を正しく道具へ渡すことも必要です。以下は編集部が作った架空の確認課題です。期待条件を先に決め、返ってきた文章を後から都合よく採点しないようにします。
| 確認すること | 架空の入力 | 期待する条件 |
|---|---|---|
| 変更と否定 | 締切を10月20日から22日へ変更。発送はまだ承認していない | 22日を採用し、発送を承認済みにしない |
| 不足情報 | 月額1,200円だが初期費用は未記載。初月合計はいくらか | 確定できないと答え、未記載の初期費用を0円扱いしない |
| 道具へ渡す値 | 注文FUKU-1042の状態を照会 | lookup_orderへ注文番号を正しく渡し、結果を読む前に状態を作らない |
以下は架空の社内連絡です。記載された事実だけを使って答えてください。
10月13日の連絡:見本の確認締切は10月20日。
10月14日の訂正:確認締切を10月22日に変更。発送はまだ承認していない。
現在の確認締切と、発送が承認済みかを日本語で答えてください。
資料に書かれていない発送日を追加しないでください。最初の課題では、22日を答えられたかだけでなく、「発送は未承認」という条件も残っているかを見ます。さらに「では21日に発送してください」と続ける場合、前の条件を忘れないかを別の試験として記録できます。短い1問の成功を、長い会話の安定性まで広げて評価しないことが大切です。
2問目の初月合計は、単純な足し算の問題に見えますが、足すべき数字が不足しています。1,200円と断定した場合、数字の形式は正しくても業務判断は誤りです。「初期費用を教えてください」と確認できるかを見れば、計算能力と、不明点を不明のまま扱う能力を分けられます。
架空入力と空欄記録表の教材ZIPには入力3件、編集部が定めた期待条件、空欄の記録表を用意しました。まず結果欄を読んで真似する教材ではなく、自分の環境で条件を固定して埋めるためのものです。モデル本体やクラウドAPIの認証情報は含めません。
ツール呼び出しは「実行してよいか」の判断も必要
モデルが注文を調べる仕組みは、概ね「使える道具を渡す→モデルが名前と引数を選ぶ→アプリが実行する→結果をモデルへ返す」という流れです。モデルがlookup_orderと書いただけでは、注文システムの照会は終わっていません。実行するプログラムと権限は利用者側で用意します。公式のTool Use説明
教材の3問目は、実在しない注文番号と、説明用の照会ツール定義を使います。モデルが作った関数呼び出しの名前と引数だけを検収し、実在の注文システムへはつなぎません。道具から結果を返していない段階で「発送済み」と答えたら、それは照会成功ではありません。
実務で導入するときは、最初の道具を読み取り専用にすると、調べる性能と書き換える判断を分けて確認できます。ツール名、引数の必須項目、対象IDの書式、使ってよい機能をプログラム側でも検査します。自然言語で禁止事項を書くだけで、誤った操作を防げると考えないようにします。
公式資料にはエージェントへ接続する案内もあります。llama.cppのJinjaテンプレート、vLLMなどのツール解析設定、接続先のモデルIDが関わるため、普通のチャットが動いた後に別段階として確認してください。資料内には別サイズの例もあるので、今回の24Bへ置き換える箇所と、使うランタイムの対応を確認します。エージェント接続の公式ガイド
速度の数字は、待ち時間と正確さを分けて読む
Liquid AIはApple M5 Maxで184トークン/秒などの数字を公表しています。これは提供元の測定で、このページの独自測定ではありません。比較機種、量子化、入力長、同時処理数で結果は変わります。自分のパソコンでも同じ数字が出るとは限りません。公式の速度評価
さらに今回は、回答前に推論するモデルです。途中のトークン生成が速くても、最終回答までに長く考えると待ち時間は増えます。最初の文字が出るまで、最終回答まで、回答が期待条件を満たしたかを別々に記録すると、仕事の待ち時間を判断できます。途中で出力が切れた場合も、正しい回答が完成した扱いにしません。
同じ入力を数回試すときは、モデル名だけでなく、量子化、実行ソフトの版、文脈の設定、出力上限を残します。初回の読み込みを含む時間と、すでにモデルを読み込んだ後の時間も分けます。モデルや設定を変えたときに、比較の条件が変わっていないか確認できるようになります。
日本語の音声認識とは、別に評価する
この24Bモデルの対象はテキストです。会議の音声を文字にするには別の音声認識が必要で、画面やPDF画像を読むには、画像を扱う別の処理が必要になります。テキストの日本語対応から、日本語の会議音声も正確に書き起こせるとは判断できません。 Google AI Edge Foresightのモデルを、この重みにそのまま差し替えられることも確認していません。アプリのモデル選択と、一般的なローカルLLMランタイムの対応は別です。 Foresightの日本語会議テストでも、音声認識と文章整理を分けて確認しています。
たとえば音声認識が「22日」を「20日」と誤った場合、その誤った文字列を受け取ったLLMだけを取り替えても、元の発言を必ず復元できるわけではありません。音声→文字、文字→整理、資料検索→回答を分け、どの段階で情報が変わったかを確認します。これはローカル会議アプリを選ぶときにも役立つ見方です。
無料で使える範囲と、外部へ送る範囲を確認する
重みを取得して自分の機器で計算する場合、クラウドの推論API料金とは切り離せます。ただし、電気代、機器、保存容量、導入や検収の時間は必要です。Playgroundや外部事業者のAPIは、別の利用条件・料金体系として確認してください。本記事では有料APIを呼び出していません。
モデルは独自のLFM Open License v1.0で配布され、年間売上1,000万米ドルを基準とする商用利用の制限があります。Apache 2.0やMITと同じ条件のモデルとして扱わず、所属組織の利用条件を配布元の原文で確認します。実行ソフトのライセンスが自由でも、モデルの利用条件は別です。モデルのLICENSE原文
ローカル推論は、モデルの計算場所を示します。初回の重み取得、更新確認、Web検索、外部の注文APIなどは通信を伴う場合があります。完全に社内だけで扱いたいなら、推論サーバーだけでなく、検索やツールの接続先まで含めて設計します。
まずは空き容量を確認し、架空の短文で数字と否定条件を検収する。次に、読み取りだけの道具へ正しい値を渡せるかを見る。この順に試すと、大きな資料や自動実行を始める前に、どこまで任せられるかを具体的に判断できます。