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EP.06Statistics対象: 中1以上 10分公開: 2026-09-01

相関と因果はなぜ違うのか

アイスが売れると水難事故が増える。だからアイスを売るのをやめれば事故は減る ── これは間違いです。なぜ間違いなのか、そして正しく確かめるにはどうするかを扱います。

#統計#因果#交絡#思考法
執筆 / 監修
松尾 亮合同会社ふくふく 代表社員

データ基盤・データパイプライン構築 / BI / 生成 AI 活用支援を専門とするエンジニア (28 年)。 本記事は AI 利用ポリシーに基づき、生成 AI の補助で執筆 → 人間が監修・編集して公開しています。

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前回、 は2つのデータが一緒に動く関係だと学びました。この回は、統計で最も間違えやすく、しかも間違えると結論が大きくずれる話をします。

それは、相関があっても、原因と結果の関係があるとは限らないということです。

1. アイスと水難事故

有名な例から入ります。アイスクリームの売上と、水難事故の件数を調べると、きれいな正の相関が出ます。アイスが売れる時期ほど、水の事故が多い。

ここで「アイスを売るのをやめれば事故が減る」と考えたら、それは間違いです。アイスと事故の両方に影響している、別のものがあるからです。

共通の原因が両方を動かしている
見えているもの実際に起きていること
アイスが売れる ↑気温が高い → 冷たいものが欲しくなる
水難事故が増える ↑気温が高い → 水辺に行く人が増える

この「両方に影響している別の要因」を と呼びます。アイスと事故は、気温という共通の原因を通じて、一緒に動いているだけでした。

見分け方の第一歩

相関を見つけたら、まず 「両方に影響していそうな第三のものはないか」 と考えてみてください。気温、季節、年齢、地域、所得 ── こうした要因は、いろいろなものに同時に影響します。

2. 相関があるときの4つの可能性

A と B に相関があるとき、考えられる説明は4つあります。どれなのかは、相関を見ただけでは分かりません

相関の裏にある4つの可能性
可能性内容
A が B の原因考えていたとおり勉強時間 → 点数
B が A の原因(逆)原因と結果が逆「本をよく読む子は頭が良い」か「頭が良いから本を読める」か
共通の原因がある交絡アイスと水難事故(原因は気温)
たまたま偶然そう見えただけ件数が少ないときに起きやすい

2行目の「逆」は見落とされやすい可能性です。時間の順序を確認すると、ある程度は切り分けられます。原因は結果より先に起きるはずだからです。

4行目も侮れません。件数が少ないと、関係のないもの同士でもたまたま相関が出ます。10人を調べて出た相関は、たまたまである可能性が十分にあります。次の節で、これがどれくらいの頻度で起きるかを実際に数えてみます。思っているよりずっとよく起きます

3. たまたま強い相関が出ることを確かめる

「たまたま」がどれくらい起きるのか、実際に試してみましょう。まったく無関係な2つの数を作って、相関係数を計算します。それを何度も繰り返します。

無関係なデータでも、少ない件数なら強い相関が出る
Python
import numpy as np
rng = np.random.default_rng(0)
for n in [10, 30, 100, 1000]:    strong = 0    trials = 10000    for _ in range(trials):        # まったく無関係な2つの数を作る        a = rng.normal(size=n)        b = rng.normal(size=n)        r = np.corrcoef(a, b)[0, 1]        # 相関係数の絶対値が 0.5 を超えたら「強い相関に見えた」と数える        if abs(r) > 0.5:            strong += 1    print(f"件数 {n:5d}: 無関係なのに |r|>0.5 になった割合 = {strong / trials:6.2%}")

実行すると、件数が少ないほど、無関係なのに強い相関が出やすいことが分かります。10件なら十数パーセントの確率で起こります。1000件ではほぼ起こりません。

つまり、少ない件数で見つけた強い相関は、まず疑うべきだということです。これは EP.03 で扱った「散らばり」の話ともつながります。件数が少ないと、結果は大きく揺れます。

4. 因果を確かめる方法

では、本当に原因と結果の関係()があるかは、どう確かめるのでしょうか。基本は実験です。

  1. 1原因だと思うものだけを変える — それ以外の条件は揃える
  2. 2変えたグループと、変えないグループを作る — 比べる相手が要る
  3. 3どちらのグループに入るかは、くじ引きで決める — 偏りを防ぐ
  4. 4結果に差が出るかを見る — 差が出れば、原因である可能性が高い

3番目が重要です。自分で選ばせると偏ります。たとえば「新しい勉強法を試したい人」だけを集めると、そもそもやる気のある人が集まってしまい、勉強法の効果なのかやる気の効果なのか分からなくなります。これは次回扱う と同じ問題で、誰が入るかの決め方が結果を左右します。

くじ引きが効く理由

くじ引きで分ければ、やる気も、もともとの成績も、両方のグループにだいたい同じくらい混ざります。だから差が出たとき、それは試した内容の差だと言えるようになります。他の要因を「揃える」のではなく「散らす」わけです。

5. 実験できないときは

現実には実験できないことも多くあります。気温を人が変えることはできませんし、倫理的にやってはいけない実験もあります(「タバコを吸わせるグループを作る」など)。

その場合は、次のような工夫で少しずつ確からしさを上げます。ただし実験ほど強い結論にはなりません

実験できないときの工夫
方法内容
時間の順序を見る原因は結果より先に起きているか
条件の近いもの同士を比べる年齢や地域が近い人同士で比べる
量が増えると結果も増えるかたくさんやるほど効果が大きいか
他の説明を1つずつ潰す考えられる共通の原因を順に検討する
別の場所でも同じか違う集団でも同じ結果になるか

これらを積み重ねると、「原因である可能性が高い」とは言えるようになります。科学の多くの分野は、この積み重ねで結論を作っています。たとえば喫煙と病気の関係は、実験ができないにもかかわらず、こうした証拠を何十年も積み重ねることで確立されました。1つの調査で決まったわけではありません。

6. 日常で使える問い

ニュースや広告で「A の人は B になりやすい」という話を見たとき、次の問いを立ててみてください。それだけで、かなりの誤解を避けられます

  1. 1逆ではないか — B だから A になったのでは
  2. 2共通の原因はないか — 両方に効いている第三の要因はないか
  3. 3何人を調べたのか — 少なければ、たまたまかもしれない
  4. 4比べる相手はいるのか — A でない人はどうだったのか

4番目が抜けている主張は非常に多いです。「この方法を使った人の80%が成功した」と言われても、使わなかった人が何%成功したかが分からなければ、効果があったのか判断できません。

この回のまとめ

相関があるとき、可能性は4つ ── そのとおり / 逆 / 共通の原因(交絡)/ たまたま件数が少ないと、無関係でも強い相関が出る。因果を確かめる基本は実験で、くじ引きで分けるのが要点。実験できないときは工夫を積み重ねる。そして日常では、「比べる相手はいるのか」と問うだけで多くの誤解を避けられます。

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