AIに資料の確認を頼んだのに、同じファイルを何度も開き、なかなか答えが返ってこない。こうした「動いているのに仕事が進まない」問題への対応を、XiaomiのMiMoチームが発表しました。対象はMiMo-V2.6のProとFlashです。
注目したいのは、処理が速くなるかだけではありません。必要な情報をそろえて答えを出し、そこで作業を終えられるかが、業務で使う際の判断材料になります。この記事では2026年9月28日に確認した公式資料を基に、更新内容と小さな確認手順を整理します。編集部によるモデルの試用・改善効果の実測は行っていません。
1. API更新と、新しい重みの公開を分けて確認する
公式ブログは9月27日付ですが、の修正版は日本時間の9月25日7時から提供済みです。利用するモデル名は mimo-v2.6-pro と mimo-v2.6-flash のまま変わりません。「9月27日にAPIが更新された」と取り違えないようにしましょう。公式の修正説明
| 出来事 | 確認できた日時 | 利用者が確認すること |
|---|---|---|
| 公式APIで修正版を提供 | 9月25日6時、UTC+8。日本時間は7時 | 実行日時、モデル名、接続先を記録する |
| 原因分析と修正内容の発表 | 9月27日。公開時刻は不明 | 利用開始日と発表日を分ける |
| MOPD版のモデルを公開 | 9月27日付ブログで公開済みと案内 | 自前で動かす場合はモデル名と取得した版を確認する |
自前で動かすためのモデルは、Hugging Faceにある MiMo-V2.6-Pro-MOPD と MiMo-V2.6-Flash-MOPDです。従来のRL版とは別に掲載されており、手元の旧モデルが自動で置き換わるわけではありません。第三者サービス経由の場合も、その提供元がいつ更新したかは別途確認が必要です。
2. 「何度も呼ぶ」だけでは、不具合とは限らない
複数の請求書を一度ずつ読むことと、内容が変わっていない同じ請求書を繰り返し読むことは分けて考えます。通信に失敗した後の再試行や、修正後の確認も、仕事に必要な場合があります。
公式ブログの集計は、一つの応答内で、ツールの結果が返る前に出した呼び出しについて、ツール名と、JSONの表記をそろえた引数が同じものを数えています。応答をまたぐ反復や、引数が少し異なる実質的な重複までは含みません。この数字が下がっても、あらゆるループがなくなったとは言えない範囲です。公式の反復の定義
業務で見るなら、「なぜもう一度実行したか」を記録します。例えば、請求額を読み直した理由が「前の読み取りで文字が欠けた」なら再試行として説明できます。正常に読めた同じ内容を、理由なく何度も取得していたら、見直す対象です。回数だけを減らすと、必要な確認まで省かれるおそれがあります。
3. MOPD版は、何を改善する更新なのか
MOPDは、複数の教師モデルから学ぶ追加学習の方法です。今回のモデルカードは、ツール呼び出しの反復を抑える教師の学習結果を取り込んだ更新と説明しています。公式は改善を報告していますが、これは開発元の評価であり、日本語の請求書確認や社内業務で同じ効果が出ると確かめた結果ではありません。Flashのモデルカード
今回の公開モデルは、一般的なノートパソコンで気軽に読み込む前提の小型モデルではありません。MITライセンスで公開されていることと、機器や実行費用が不要であることも別です。既にAPIや対応サービスを使っている人は、まず同じ小さな仕事を試し直す方が、更新の影響を把握しやすいでしょう。Proの配布条件と実行例
日本からの契約・決済条件、現在の料金、日本語の業務精度は、本記事では確認していません。新規に使い始める場合は提供元で条件を確認し、必要な費用を把握してから試してください。
4. 架空の請求書3件で、終わり方を確かめる
3件の架空文書、人が照合する期待結果、空の記録表を教材ZIPにまとめました。AIに渡すのは invoices フォルダー内の3ファイルだけです。期待結果と記録表は入力フォルダーの外に置きます。
ここからは読者向けの確認例です。MiMoを接続済みで、ファイルを読めるAIツールを使っている場合を想定します。新しい空の試験フォルダーを作り、次の3ファイルをUTF-8のテキストとして保存します。実在の取引情報を入れる必要はありません。
ファイル名:01_a.txt架空の請求書。請求番号 INV-A。金額 12,000円。支払期限 2026-09-30。支払状況 未払い。
ファイル名:02_b.txt架空の請求書。請求番号 INV-B。金額 8,000円。支払期限 2026-10-05。支払状況 未払い。
ファイル名:03_c.txt架空の請求書。請求番号 INV-C。金額 5,000円。支払期限 2026-09-25。支払状況 支払済み。上の囲み全体を一つのファイルへ貼るのではなく、各ファイル名の下にある2行をそれぞれ保存します。AI側ではこのフォルダーを参照できる設定にします。書き込みやメール送信などの外部操作は不要です。ただし、公式APIや第三者のAPIを使う場合、読み取った本文は推論先へ送られます。ここでは架空データだけで試します。フォルダーの選択だけでアクセス範囲が制限されるかは、利用するツールの権限設定も確認します。
次の依頼文を使い、末尾の「確認したいこと」を表のA・B・Cに入れ替えます。期待結果の表は人の採点用で、AIへの依頼には貼りません。
指定した試験フォルダー直下の3件のtxtだけを根拠に答えてください。
読み取れなかったファイルは、その名前と理由を示してください。
ファイルの変更、外部サイトの参照、メール送信、支払処理は行わないでください。
確認したいことに答える情報がそろったら、根拠のファイル名とともに回答を出し、作業を終了してください。
確認したいこと:未払いの請求番号と金額を列挙し、合計してください。| 試験 | 確認したいこと | 人が照合する期待結果 |
|---|---|---|
| A | 未払いの請求番号・金額と合計 | INV-A、INV-B。合計20,000円 |
| B | 2026年9月30日までが期限の未払い分 | INV-A、12,000円のみ |
| C | INV-Dの支払期限。なければ見当たらないと回答 | 3件の中にINV-Dはなく、期限は回答できない |
特にCでは、見つからない情報を探し続けず、確認できなかったと終えられるかを見ます。A・Bでは、必要な情報を読まずに早く終えていないかも確認します。「停止できた」と「正しく完了した」は同じではありません。
5. 正答と反復、待ち時間を別々に記録する
最初はA・B・Cをそれぞれ新しい会話で1回ずつ試します。前の回答や試験結果を次の会話へ渡さず、同じファイル、同じ依頼文、同じツール設定を使います。正常に記録できたら、費用の範囲内で各試験を3回まで繰り返すと、たまたま一度うまくいった結果との違いを見やすくなります。3試験を3回なら9回の作業ですが、一つの作業中にモデル呼び出しが複数回生じる点には注意してください。
始める前に、例えば「5分を超えたら人が止める」と打ち切り条件を決めます。これは教材用に設ける観察条件で、製品の標準設定や安全基準ではありません。停止した試行も残し、成功した回だけで時間を平均しないようにします。
| 記録する項目 | 残し方 |
|---|---|
| 実行条件 | 日時・接続先・モデル名・AIツールの版・主な設定 |
| 試験と結果 | A/B/C、試行番号、期待結果と一致/不一致/未完了 |
| 所要時間 | 依頼を送ってから最終回答または手動停止まで |
| 呼び出し | 全体の回数。同じツール名・引数が重なる箇所 |
| 再実行の理由 | 読み取り失敗、内容更新、理由不明など |
| 費用 | 使用量と請求表示。取得できなければ不明 |
ツールの履歴を保存できるなら、同じ応答内の重複と、後の応答での読み直しを別に印を付けます。画面に内部操作が出ないサービスでは、反復回数は「観測できない」とし、時間だけから推測しません。公式の指標と自分の目視記録は数え方が違うため、同じ「反復率」として比較しないことも大切です。
過去の実行記録がなければ、APIの更新前後を比較したとは言えません。現在のAPI名が同じでも旧版を選べるとは限らず、第三者サービスが同じ時刻に更新したとも限りません。今回作った記録を今後の比較の基準にします。条件をそろえて試し直す考え方は、Sol・Lunaの画像理解修正を扱った記事でも紹介しています。
6. 導入判断では「早く止まる」だけを合格にしない
この3試験で確認できるのは、短い日本語の文書を読み、範囲の決まった回答を出す際の挙動です。大量の資料、長い会話、複雑な開発作業での安定性を証明する試験ではありません。すべて成功しても、支払いや顧客への送信をそのまま自動化する根拠にはなりません。
回答が正しく、不要な操作も増えず、人の確認時間が減るなら、次に扱う資料を少し増やします。逆に、時間は短くても未読の資料がある、見つからない番号の期限を作る、失敗を隠して終了するなら、仕事を任せる範囲を広げる段階ではありません。
今回の更新は、以前MiMoの反復で困った人にとって再評価のきっかけになります。再び同じ問題が起きた場合も、モデル名だけで判断せず、接続先・入力・ツールの結果を残すと原因を切り分けやすくなります。まずは「必要なことを調べ、正しく答えて終える」一つの仕事から確認してください。
参考にした一次資料
確認日:2026年9月28日。