受託案件で時間を食うのは、実装ではなく「見積もり」です。要件聞いて、影響範囲を調べて、人月とスケジュールを出す。1案件あたり半日〜1日。これが 導入後、平均2時間に短縮されました。
見積もりの「時間泥棒」を可視化する
特に短縮効果が大きいのは「影響範囲調査」です。レガシーコードベースで「この変更どこに影響しますか?」を人間が辿ると数時間かかる作業が、grep +コードリーディングを並列実行できる Claude Code なら数分で終わります。
ステップ1:要件メモから「観点」を抽出
クライアントとの打ち合わせメモは、たいていそのままだと使いにくい。Claude Code に「観点抽出」を頼むのが最初です。
prompt:要件メモ → 観点抽出
以下は今日のクライアント打ち合わせメモです。
これを「見積もり観点リスト」に変換してください。
## 出力フォーマット
1. **明確な要件**(リスト)
2. **暗黙の前提**(メモから推測される、確認すべき事項)
3. **未決事項**(次回打ち合わせで決めるべきこと)
4. **見積もりに必要な質問**(今すぐクライアントに聞くべき)
## 入力
@notes/2026-06-12-client-meeting.md 想定される実行結果(例示)
## 見積もり観点リスト
### 1. 明確な要件
- 既存BIダッシュボードを Tableau から Looker Studio に移行
- 移行対象: 12ダッシュボード、KPI 約 80指標
- 完了希望: 2026年9月末
### 2. 暗黙の前提(要確認)
- データソースは現行のままBigQuery継続と推測
- 既存ユーザー権限の移行も含むと推測(Tableau のRowLevelSecurity)
- 移行期間中の並行運用は前提と推測
### 3. 未決事項
- 移行後のTableauライセンス継続/解約タイミング
- ダッシュボード一覧の優先順位(MVP移行の範囲)
### 4. 今すぐ聞くべき質問
- Q1: Looker Studio の Pro / 無料、どちらを利用?
- Q2: 既存12ダッシュボードのうち、優先10個と低優先2個の振り分け?
- Q3: 移行期限が後ろ倒しできない理由(契約・予算等)?ステップ2:影響範囲を並列調査
プロンプト:影響範囲調査
以下のリポジトリで、Tableauから Looker Studio へ移行した場合の影響範囲を、3つの観点で並列調査してください。
## 観点
1. **データモデル**: 既存 dbt モデルで Tableau 専用の構造になっているもの(Tableau Hyperextract等)
2. **権限**: TableauのRowLevelSecurity(RLS)の設定、Looker Studio で再現可能な範囲
3. **ダッシュボードロジック**: Tableau の計算フィールドで複雑なものを抽出(Looker Studio で再実装が必要なもの)
## 出力
- 各観点の作業量見積もり(人日)
- 「想定外に時間がかかりそう」な項目の特別マーク 想定される実行結果(例示)
## 影響範囲調査レポート
### 観点1: データモデル(推定 5人日)
- Hyperextract 利用: 3モデル → BigQuery view 変換で対応可能(1.5人日)
- 計算列の Tableau 内記述: 12個 → dbt 側に巻き取り推奨(3人日)
- ⚠️ `fct_revenue_realtime` は {{tableau|*}} のキャッシュ前提で、{{looker-studio|*}} では再現困難(要再設計、1.5人日追加)
### 観点2: 権限(推定 3人日)
- {{rls|*}} 設定 8件 → Looker Studio フィルタ+共有で5件再現可能
- ⚠️ 残り3件は組織レベル権限と統合不可(IAMで分離が必要、追加2人日)
### 観点3: ダッシュボードロジック(推定 8人日)
- 12ダッシュボード × 平均0.5人日 = 6人日(標準ロジック)
- ⚠️ `Customer 360 View` ダッシュボードは複雑、3人日見積もり
## 合計見積もり
- ベース: 16人日
- リスクバッファ: +6人日(特別マーク3項目)
- **総額: 22人日(+/- 4人日)**ステップ3:見積書ドラフト生成
観点抽出と影響範囲が出れば、見積書のドラフト作成は数分です。Claude Code に「これまでの調査結果を、クライアント提出用の見積書に整形」と頼むだけ。
効果と限界
Claude Code が苦手な見積もり領域
(1) 政治的な調整工数(部門間の合意形成)、(2) 例外的なレガシーコードの依存関係、(3) クライアント側のリソース制約、これらは人間が直接把握する必要があります。AIで全自動化はできません。
次回予告
EP.04 では、「Claude任せ」と「人間のレビュー」のちょうど良い境界線を、実装フェーズ別に解説します。
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