「12GBのGPUで大きなAIが動く」と聞いたとき、次に見るのはパソコン本体のメモリと、使いたい言語です。 Strataでは、同じ機器でも選ぶモデルの版や並列数で条件が変わります。日本語の業務文を扱う人が、メモリに収まるという理由だけでCoder版を選ぶと、用途に合わない可能性があります。
は、Qwen3.8-Flash-Nextなどを手元のWindows・Linux機で動かす公開の推論エンジンです。2026年10月4日21時32分47秒(日本時間)にv0.1.39が公開され、複数の依頼を同時に処理する仕組みや、新しい接続形式への対応が加わりました。公式リリース
本記事は、この固定版の公式資料を読んだ導入前の解説です。編集部ではStrataのモデル推論、日本語品質、速度を実測していません。 用意した教材も、機器と条件を記録するためのものです。まず自分の仕事に合う構成を考え、その後で少量の日本語を確認する順に進めます。
v0.1.39で増えたのは、モデルの大きさより使い方の選択肢
Strataは翻訳や文章生成を担うモデルそのものではありません。モデルを、やパソコン本体の計算・メモリへ分担させて動かす役割です。今回の更新を「新しい125Bモデルが登場した」と読むと、何が変わったのかがずれます。
| 更新点 | 導入を考えるときの意味 |
|---|---|
| 複数依頼の同時処理 | 先の回答が終わるまで、後の人が待ち続ける状態を減らせる |
| Responses形式の受付 | この形式を使うアプリとの接続候補になる |
| 旧GPUなどへの実験対応 | 手持ちの機器を確認する余地が増えるが、通常対応と区別する |
| 読み込み・処理の修正 | 特定の設定で改善がある。すべての機器が同率で速くなるわけではない |
開発元のリリースには、今回測った条件と、他の協力者が測った条件が分けて書かれています。READMEにある従来の速度表も、全行をv0.1.39で測り直したものではありません。版が異なる数字を横に並べて「最新版ならこの速度」と判断するのは避けたいところです。v0.1.39の変更点と検証範囲
自分が一人で使うのか、社内の数人から同時に依頼が来るのかでも、注目する更新は違います。前者なら一つの回答が完成するまでの時間、後者なら待たされた最後の人がいつ読み始められるかも、選定材料になります。
GPUの12GBと、パソコンのメモリは別に数える
はGPUが直接使うメモリで、パソコン本体のメモリとは別の欄です。Strataではモデルの一部をGPU側に置き、ほかを本体メモリなどで扱います。「12GB」という数字だけで、必要な機器一式を表しているわけではありません。公式READMEの必要条件
| 確認するもの | 公式資料を読む際の目安 |
|---|---|
| OS | Windows 10/11、またはLinux。Macはこの版の公式導入経路の対象外 |
| GPU | NVIDIA・AMDの対応機種。主な目安は専用メモリ12GB以上 |
| 本体メモリ | モデルの版で変わる。32GB・48GB・64GBを同じ条件にしない |
| 保存容量 | モデル以外に補助ファイルや実行環境が必要 |
| ドライバー | GPU型番と版に合うもの。旧GPUの実験経路と混ぜない |
ディスクにも注意が必要です。公式の導入資料はモデル用に約70〜80GB、さらに補助用に約6GBと説明しています。画像を使う追加物、特定の構成で作られるコピー、実行ライブラリが加わる場合もあります。例えばQ2_0を特定のCPU命令に対応した構成で使うと、約40GBの追加コピーを作る説明があります。空き容量80GBを見つけただけで、準備が終わるとは限りません。固定版の導入条件
先に記録したいのは、購入時のスペックだけでなく、今空いている容量です。ブラウザ、表計算ソフト、開発環境を同時に使うなら、その仕事も残ります。モデルが起動することと、いつもの業務を並行して続けられることは別です。機器を買い替える前に、普段の作業を開いた状態の情報を記録しておくと、後の比較がしやすくなります。
日本語の仕事では、Coder版を「小さい同等品」と扱わない
公式の選択表では、32GBの本体メモリで使う候補としてCoder版が登場します。ただし、これは元のモデルを同じ性質のまま小さく保存しただけの版ではありません。計算を分担するの専門家部分を、コード用途に合わせて減らしています。
開発元は、Coder版がコード以外や英語以外で弱くなることを明記し、中国語などのCJK言語で回答の誤りや繰り返しが出た報告を紹介しています。日本語の受付文や社内資料を扱うなら、この注意を無視して選べません。ただし、これだけで「日本語は一切使えない」とも言えず、実際の課題で確認する必要があります。モデル選択とCoderの注意
| 本体メモリの例 | 公式が挙げる主な候補 | 日本語業務で確認すること |
|---|---|---|
| 32GB | 主にCoder | 小ささだけで選ばず、言語と用途の制限を読む |
| 48GB | Q2_0、IQ2_XS | 必要な余裕を残せるか、実際の文で確認する |
| 64GB | IQ2_XS、IQ3_XXS、IQ3_Sなど | 大きい版でも、ほかの仕事を開く余裕を確認する |
これはGPUとの組み合わせや設定を省いた目安です。例えば大きなGPUと少ない本体メモリを組み合わせる別経路もあり、表だけで起動の可否は決まりません。また、ここでいう元のモデルのQ2_0などもされた版です。「Coder以外なら元と完全に同じ品質」と保証するものではありません。容量別の選択と例外
導入判断では、モデル名をメモするだけでは足りません。元のモデルかCoderか、どの量子化か、固定した版は何かを残します。日本語の品質が気になって版を替えたときに、前回と同じ条件で比較できるようにするためです。
並列化は「最後の人の待ち時間」と「全体の速さ」を分ける
v0.1.39では、設定のparallelで複数の会話を同時に扱えます。既定は1件ずつです。同時に処理する会話ごとに作業用メモリを使うため、GPUの余裕が少ない機器では、並列化によって各回答が遅くなる場合があります。並列処理の仕様
開発元はRTX 5070・専用メモリ12GB、本体メモリ64GB、Q2_0、32K文脈で、4件を同時に送る試験を公開しています。各回答は256トークン上限、3回の中央値です。次は開発元の測定値で、編集部の実測ではありません。
| 4件の処理方法 | 最後の依頼の最初の出力まで | 全体の処理量 |
|---|---|---|
| 1件ずつ順番に処理 | 11.2秒 | 70.7トークン/秒 |
| 4枠で並列処理 | 1.8秒 | 63.1トークン/秒 |
最後の人が読み始めるまでの時間は短くなっていますが、全体の処理量は下がっています。ここを一つの「速さ」にまとめると、期待がずれます。受付担当が下書きを待つ仕事なら早く表示が始まることが役立ち、夜間に大量の文書を最後まで処理する仕事なら、全件完了までの時間を重く見るでしょう。測定条件と結果
また、この数字は特定の試験入力・機器・モデルによるものです。日本語の文字数へそのまま換算できません。は文章の分割単位で、入力の長さや言語によって文字数との関係が変わります。まず1件で意味を確認し、同じ課題を複数送る必要が出てから並列設定を比べる順がよいでしょう。
Responses互換でも、アプリの機能すべてが移るわけではない
新たに受け付ける/v1/responsesは、の形式を使うアプリを接続するための入口です。ただし、受付形式が似ていても、保存方法や使える道具まで同じではありません。Strataがどこまで実装しているかを、接続側の使い方と照合します。固定版の互換範囲
| 接続側で使う機能 | Strata v0.1.39での扱い |
|---|---|
| 過去の応答IDで会話を続ける | previous_response_idなどは非対応。毎回必要な履歴を送る方式 |
| サービス側の検索ツール | web_searchなどのhosted toolsは実行されない |
| 指定したツールの利用を強制 | tool_choiceで特定の利用を強制できない |
| JSON形式を要求 | 生成時に形式を強制する方式ではなく、生成後の確認 |
| reasoning.encrypted_content | この実装では暗号化ではなく符号化された内容。名前だけで秘匿性を判断しない |
が返せることと、必要な項目が常に正しいことも別です。例えば、接続が成功して受付番号と担当部署が返ってきても、存在しない部署を作っていれば業務では採用できません。形式、項目、意味の順に確認する必要があります。
最初は外部操作を使わない文章の課題で、接続と出力を確認するのが扱いやすい方法です。保存済みの会話IDに依存したアプリなら、履歴の送り方を変える必要があります。社内検索を前提とするアプリなら、検索機能がどこで実行されるかも確認します。の接続先だけを替えて、以前と同じ仕事が完了すると決めつけないことが大切です。
架空の社内メモで、日本語の意味と未確定情報を確認する
試す課題は、長い文書から始める必要はありません。例えば、次の短いメモなら、否定、担当者、期限、未確定の情報を一度に確認できます。これは編集部が作った入力例で、Strataの出力例ではありません。
以下は架空の社内メモです。書かれていない内容は推測せず、提出用の一覧に整えてください。
【記録】10月9日17時までに、青葉商事へ見積書を送る。担当は田中。送る前の上長承認は不要。ただし、見積書そのものは必要。案件Bの検収日は未確定。担当の佐藤が顧客へ確認する。案件Cの支払いは検収後30日以内。金額はまだ記載されていない。宛先は {recipient_name}、案件IDは [CASE_204] とし、これらの文字列は変更しない。
【依頼】1. 確定している行動・担当・期限を表にする。2. 未確定の項目を、推測で埋めずに別に並べる。3. 承認の要否と、見積書の要否を別々に書く。4. 変数と案件IDをそのまま残す。5. 外部への送信やファイル操作は行わず、回答文だけを返す。検収する人は、上長承認が不要でも書類は必要なこと、佐藤が確認する案件Bの検収日が未確定のまま残ること、案件Cに具体的な支払日や金額が追加されないことを見ます。表がきれいかどうかと、仕事の内容が変わっていないかを別の欄にしてください。
この課題を通ったとしても、日本語の業務全般に使えることを示す結果ではありません。次は自社で実際に起きる言い回しを増やし、長い文、複数の依頼、担当者が不明な文を別々に確認します。最初の出力を保存し、修正依頼後の出力と分けておけば、人の手直しまで含めた負担を比べられます。
形式や用語だけでは意味の誤りを見逃す例は、Index-Translateでの日本語翻訳試験にもあります。用途を狭く決めた分類器と比較したい場合は、Jeffyで独自の問い合わせ分類を作った記事も参考になります。Strataは実行エンジンなので、これらの用途別モデルと役割を分けて考えます。
導入条件の記録表を、通信せずに作る
導入条件・日本語課題の教材ZIPには、記入用の設定ファイル、記録表を作る短いスクリプト、上の架空課題、人が確認する条件を収録しました。モデルやStrata本体は同梱していません。教材のスクリプトはPythonの標準ライブラリだけを使い、モデルの取得、外部通信、推論を行いません。
教材フォルダで次を実行すると、Markdownの記録表ができます。未記入は未記入のまま残ります。Macでもこの記録表は作れますが、Strata本体のMac対応を意味しません。
python3 render_record.py --input record.template.json --output my-record.md| 記録欄 | 残す理由 |
|---|---|
| OS・GPU型番・ドライバー | 対応条件を照合する |
| GPU専用メモリ・本体メモリ | 二つを混同しない |
| モデル・補助物・追加コピー等の容量 | 本体以外の保存領域も数える |
| モデルID・固定版・量子化・文脈長 | 後から同じ条件を再現する |
| 並列数・表示開始・回答完了・意味の確認 | 待ち時間と品質を一緒に比べる |
容量の6項目をすべて記入した場合だけ、スクリプトは合計と空き容量との差を計算します。これは記入した数字の足し引きで、起動できるかの判定ではありません。未確認の項目をゼロで埋めると、足りない容量を隠してしまいます。単位をそろえ、調べた値と推定した値も区別して記録してください。
実機で試す段階では、公式資料で機器と選ぶ版を確認し、必要な準備を別途行います。通常の起動入口はWindowsのSTART-HERE.bat、Linuxの./setup.shです。これらは初回に実行環境や大きなモデルを取得して起動する処理で、単なる記録表の作成とは異なります。今回の記事では、その導入やモデル実行は行っていません。公式の導入手順
無料のソフトでも、モデルと運用の条件は確認する
Strata本体はで公開されています。ただし、使うモデル、量子化版、追加部品にはそれぞれの利用条件があります。本体が公開されていることだけで、選んだすべての重みや追加物を同じ条件で使えるとは判断しません。出所とライセンス
クラウドの推論単価を気にせず試せる構成でも、機器、電気、設定、ダウンロード、検収の負担は残ります。既に対応するパソコンがあり、日本語の下書きやコード補助を手元で試したい人には検討する理由があります。一方、新しい機器を買う判断は、公式の速い数字だけで決めず、実際に使う文と、人が直す手間まで確認してから行うほうがよいでしょう。
今回確認したのはv0.1.39の仕様と、記録教材の動作です。Strataの速度、日本語の正確さ、手持ち機器での動作を実証した記事ではありません。確認日:2026年10月5日。