ふくふくHukuhuku Inc.
EP.01Viz 13分公開: 2026-05-10

時系列を伝える6種:折れ線・エリア・ストリーム・バーンダウン・ガント・ローソク足

時間の流れに沿った数値を見せるのは、ビジネスの可視化で最頻出のテーマ。基本の折れ線から、進捗を語るバーンダウン、相場の世界の標準ローソク足まで6種を比較。Looker Studio / Tableau / Excel のデフォルト対応可否マトリクス付き。

#可視化#時系列#bi#Looker Studio#Tableau
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「時間が進むにつれて数値がどう動いたか」を見せたい場面は、ビジネスの可視化で最頻出のテーマです。同じ「時系列データ」でも、伝えたいメッセージで最適なグラフが違います。第1回は時系列系の代表6種を、向き不向き・誤読しやすさ・主要BIツール対応の3軸でまとめます。

この回で身につくこと

①「線で繋ぐ/面で塗る/積み上げる」の使い分け。② バーンダウン・ガント・ローソク足のような、専門領域の標準を会社で使う場面。③ / / Excel の標準機能で、どこまで作れるかの境界線。

対応マトリクス(先に結論)

デフォルト機能の対応可否(拡張なし、2026 年時点)
グラフmatplotlibLooker StudioTableauExcel
折れ線✅ ネイティブ✅ ネイティブ✅ ネイティブ
エリア(積み上げ含む)✅ ネイティブ✅ ネイティブ✅ ネイティブ
ストリームグラフ❌ Community Viz✅ ネイティブ❌ アドイン要
バーンダウン⚠️ 計算フィールド + 折れ線✅ テンプレあり⚠️ 自作テンプレ
ガント❌ Community Viz✅ ネイティブ⚠️ 横棒の応用
ローソク足❌ Community Viz✅ ネイティブ✅ ネイティブ

1. 折れ線グラフ ─ 時系列の「素」

用途:時間に対する数値の推移そのもの。売上日次推移、サーバ 使用率、株価の終値など。 強み:誰でも読める。傾き=変化率、交差点=逆転、間隔=周期。情報密度が高い。 弱み:複数系列を重ねすぎると識別不能(スパゲッティ状態)。3〜5本までが上限。

3年分の売上推移を折れ線で表示。前年比較が即座に読み取れる
折れ線:傾きで変化、間隔で周期、複数線で比較。万能だが本数を絞る
誤読を減らすコツ

Y軸を 0 始まりにするか、データ範囲に絞るかは意図的に選ぶ。0 始まりは絶対値の正確さ重視、絞り込みは変化の見せ方重視。「グラフでウソをつく」と非難される最頻ポイントなのでキャプションで明示する。

2. エリアチャート(積み上げ含む)

用途:「全体に占めるカテゴリ別の構成比が時間でどう変わるか」を見せたいとき。プロダクト別売上の積み上げ、媒体別流入の構成変化、契約プラン別 ARR など。 強み:合計値と構成比が同時に分かる。 弱み:個別カテゴリの値はパッと読めない(高さが下のカテゴリで歪む)。100%積み上げにすれば構成比に専念できるが、合計値は失う。

プロダクトA・B・Cの月次売上を積み上げエリアで表示、AとCが伸びてBは横ばい
積み上げエリア:合計と構成を同時に。3〜5カテゴリが現実的な上限

3. ストリームグラフ

用途:エリアの中央軸版。トピック別の話題量推移、 バズの発生・収束、楽曲ジャンル別シェアの長期変化など、美しさと印象重視で。 強み:流れる「川」のような視覚効果で、読み手の感情を動かす。プレゼン・年次レポートの目玉に向く。 弱み:正確な数値は読めない。意思決定の現場では使わない、メッセージ伝達装置として割り切る。

Looker Studio では追加実装

Looker Studio はデフォルト未対応。Community Visualization で実装するか、Tableau に逃がすのが実務的。Excel もアドインなしでは作れない。「印象的だけど作るのは Tableau」と覚えておく。

4. バーンダウン / バーンアップチャート

用途:プロジェクト管理・スプリント運用の標準。残タスク量の時系列を「理想線(直線で計画通り消化したらどうなるか)」と一緒に並べる。 強み:遅延・前倒しが一目で見える。会議の冒頭3秒で進捗が言える。 弱み:終わりが決まってる仕事にしか使えない(運用業務には不向き)。スコープ追加で線が乱れると読みにくい → バーンアップ(完了量を上向きに積む)の方が「スコープ拡大」も明示できて優れる場面が多い。

理想線と実績線の2本のバーンダウン。中盤で実績が理想を上回り遅延気味、終盤で巻き返した
バーンダウン:実績線が理想線より上=遅延、下=先行。一目で進捗が言える

5. ガントチャート

用途:開始・終了が決まった多数のタスクを、横軸=時間で帯状に並べる。プロジェクト計画、人員アサイン、システムリリース計画。 強み:タスク間の重なり・前後関係が物理的に見える。マイルストーン(◇)と組むと締切も伝えられる。 弱み:本数が増えると縦に長くなり読みにくい。100行を超えるなら専用ツール(Asana, Backlog, Smartsheet 等)に委ねる。

6. ローソク足

用途:金融時系列の標準。始値・高値・安値・終値の4値を、1日(or 1分)ごとに1本のローソクで表現。陽線(白/緑)=上昇、陰線(黒/赤)=下落。 強み:1本に4つの情報が詰まる、情報密度が異常に高い。FX/株式トレーダーの共通言語。 弱み:金融以外で使うと「読み手が読めない」。社内データに無理に当てはめない。

30日分のローソク足チャート、陽線と陰線が混在
ローソク足:4値を1本に凝縮。金融以外では使わないのが鉄則

Python で全部作ってみる

matplotlib + mplfinance で時系列6種
Python
import numpy as npimport pandas as pdimport matplotlib.pyplot as plt
# サンプル時系列np.random.seed(0)dates = pd.date_range("2026-01-01", periods=180)series = {    "Product A": np.cumsum(np.random.randn(180)) + 100,    "Product B": np.cumsum(np.random.randn(180)) + 120,    "Product C": np.cumsum(np.random.randn(180)) + 80,}
# 1. 折れ線fig, ax = plt.subplots(figsize=(10, 4))for label, y in series.items():    ax.plot(dates, y, label=label, linewidth=2)ax.legend(); ax.grid(alpha=0.3); ax.set_title("Line")plt.show()
# 2. 積み上げエリアfig, ax = plt.subplots(figsize=(10, 4))ax.stackplot(dates, *series.values(), labels=series.keys(), alpha=0.85)ax.legend(loc="upper left"); ax.set_title("Stacked Area")plt.show()
# 4. バーンダウンtotal = 100days = np.arange(20)ideal = total - days * (total / len(days) + 1)actual = total - np.cumsum(np.random.randint(2, 8, size=len(days)))fig, ax = plt.subplots(figsize=(10, 4))ax.plot(days, ideal,  "--", label="ideal", color="gray")ax.plot(days, actual, "-",  label="actual", color="#eb5d32", linewidth=2)ax.fill_between(days, actual, ideal, where=actual>ideal, alpha=0.2, color="red", label="behind")ax.fill_between(days, actual, ideal, where=actual<ideal, alpha=0.2, color="green", label="ahead")ax.set_title("Burndown"); ax.legend(); ax.grid(alpha=0.3)plt.show()

選び方のフローチャート

Q1:合計値と構成比、両方見せたい? → Yes:エリア/No:折れ線。 Q2:プロジェクトの進捗(締切あり)? → Yes:バーンダウン/バーンアップ/ガント。 Q3:金融データ( が揃っている)? → Yes:ローソク足。 Q4:印象重視のプレゼン用途? → Yes:ストリーム(Tableau 推奨)。

ふくふく式 推奨基準

・社内 で日次更新するもの → Looker Studio(無料、共有が楽、Google 系データに強い) ・分析チームが探索的に使う → Tableau(多機能、ストリーム/ガントもネイティブ) ・経営会議の資料 → Excel 配布・印刷向き) 用途で使い分けるのが現実解。

次回予告

EP.02 は比較系:棒グラフ・横棒・グループ棒・レーダー・ドットプロット。「数値の大小を比較する」ためのグラフ群と、それぞれの誤読しやすさ・主要 BI ツールでの作り方を扱います。

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