1. 身近な「データベース・SQL」を逆算する
銀行口座、Amazon の購入履歴、Twitter の投稿、Facebook の友達。これらすべて リレーショナルデータベース (RDB) + SQL で管理されている。1970 年に エドガー・コッド が発明した数学的モデル。
データの保存・検索が階層型・ネットワーク型のままだった可能性。コッドの「関係モデル」が、データを 2 次元の表にして数学的に扱う革命を起こした。SQL なしの世界は想像できない。
2. 100 文字でわかる
エドガー・コッド (1923〜2003)。英国系米国人数学者、IBM 研究員。1970 年「リレーショナルモデル」論文発表、SQL とリレーショナル DB の基礎を確立。1981 年チューリング賞。
3. 500 文字でわかる
1923 年英国生まれ、米国移住、ミシガン大学博士。1948 年に IBM 入社、IBM 360 / 370 等の OS 開発を経て、1970 年に論文「A Relational Model of Data for Large Shared Data Banks」を発表 — 「データを 2 次元の表 (リレーション) に整理し、数学的演算 (関係代数) で操作する」モデル。当時の主流は階層型 / ネットワーク型 DB で、コッドの提案は「理論は美しいが実用には向かない」と IBM 内部でも冷遇。しかし IBM サンノゼ研究所のチームが 1974 年から System R (リレーショナル DB の実装) を開発、その問合せ言語が SEQUEL (後の SQL)。1979 年、IBM は商用 SQL/DS を発売、その間に Larry Ellison が System R 論文を読み 1979 年 Oracle を起業、商業的に大成功。コッドは 1981 年チューリング賞。晩年は「現在のリレーショナル DB は私のモデルに準拠していない」と批判 (Codd's 12 rules で純粋性を主張)、業界と微妙な関係。2003 年没**。
4. もっと詳しく
1970 年論文と冷遇
1970 年、IBM 社内技術誌に「A Relational Model」発表。当時主流だった IMS (階層型 DB) との比較で「理論は美しいが、実用ではない」と社内から評価。コッドは独自にプロトタイプを進めようとしたが、IBM は支援に消極的。
System R と SEQUEL (1974-79)
1974 年、サンノゼの IBM 研究所が System R を開始、コッドの理論を実装。問合せ言語 SEQUEL (Structured English Query Language) を考案、後に商標問題で SQL に改名。1979 年に IBM SQL/DS、1983 年 DB2 として商業化。
Oracle の誕生 (1979)
1977 年、Larry Ellison がコッドの 1970 年論文を読み、「これはすぐに製品化できる」と起業を決意。1979 年に Oracle 2 (世界初の商用リレーショナル DB) を発売、IBM より早く商業化。Ellison は世界の富豪に。
Codd's 12 rules
1985 年、コッドは「Codd's 12 rules」を発表 — 「真のリレーショナル DB が満たすべき 12 の規則」。多くの商用 DB は実は完全には満たしていないと批判、特に SQL の冗長性・NULL の扱いを批判。「SQL は本物のリレーショナル DB ではない」という強い主張で、業界と微妙な関係に。
晩年
1981 年チューリング賞、1985 年に IBM 退職。「OLAP (オンライン分析処理)」概念も提唱 (1993 年)、データウェアハウス・BI 業界の用語に。2003 年に 79 歳で死去。
5. 現代への影響
- 全 RDB: PostgreSQL / MySQL / Oracle / SQL Server / SQLite
- SQL: 全データベース言語の標準
- Oracle / IBM / Microsoft: コッドの理論で業界が成り立つ
- OLAP / DWH: データ分析の基盤
- 正規化理論: DB 設計の基本
6. もっと知りたい人へ
- Wikipedia (日本語): エドガー・F・コッド
- 論文「A Relational Model of Data」(1970): 公開
- 書籍「The Relational Model for Database Management」: コッドの集大成
7. 次の話
EP.66 では ジム・グレイ を扱います。データベースのトランザクション理論を作り、海で消息を絶った Microsoft 研究員。
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