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EP.01Pioneers対象: 中1以上 9分公開: 2026-05-10

ティム・バーナーズ=リー:あなたが今見ている Web を作った人

スマホで YouTube を観る、ニュースを読む、SNS で投稿する。これらは全部「Web」の上で動いている。1989 年、CERN の物理学者がたった 1 人で WWW を発明した話。

#偉人伝#WWW#Web#インターネット
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1. 身近な「Web」を逆算する

スマホで YouTube を観る。これは「Web ブラウザ」「URL」「HTTP プロトコル」「HTML / CSS / JavaScript」が組み合わさって動いている。これらすべての土台を発明した人が、ティム・バーナーズ=リー です。

もしこの偉人がいなかったら

そもそも Web (WWW) が存在しなかった。インターネット自体は別の人 (ヴィント・サーフ ら、EP.18) が作ったが、「ブラウザでクリックして別ページに飛ぶ」というハイパーテキスト体験は無かった。我々はパソコン通信や Gopher で、文字だけのメニューを辿る世界に住んでいたかもしれない。

2. 100 文字でわかる

100 文字紹介

ティム・バーナーズ=リー (1955〜)。英国生まれ、CERN の物理学者。1989 年に WWW を発明、HTTP・HTML・URL・最初のブラウザを 1 人で書いた。Web を特許化せず無償公開した「Web の父」。

3. 500 文字でわかる

1989 年、欧州原子核研究機構 (CERN) で働いていたティム・バーナーズ=リーは、研究者間の文書共有を効率化するため、新しいシステムを提案した。それが World Wide Web (WWW)HTTP プロトコル (通信規約)、HTML (マークアップ言語)、URL (アドレス体系)、そして世界初のブラウザ + サーバを 1 人で実装した。1991 年に公開、CERN は彼の提案で 特許を取らず無償公開 することを決定。これが Web の爆発的普及の鍵となった。1994 年には MIT で W3C (World Wide Web Consortium) を設立、Web 標準の策定に専念。1999 年には「セマンティック Web」、2018 年には「Solid プロジェクト」(個人データを企業から取り戻す分散 Web) を提唱。功績: Web そのものを作っただけでなく、「オープンで誰でも参加できる」という原則を最初から組込んだことで、現代のインターネット文化の基礎を作った。

4. もっと詳しく:ティム・バーナーズ=リーの全人生

幼少期と学生時代

1955 年 6 月 8 日、ロンドン生まれ。両親はマンチェスター大学が作った世界初の商用コンピュータ「Ferranti Mark 1」のプログラマで、家庭でも常にコンピュータが話題だった。幼少期から電子工作と数学に没頭。オックスフォード大学で物理学を専攻、在学中にハンダ付けで自作コンピュータを組み立てるなど、ハードとソフト両方に詳しかった。

CERN での発明

1989 年 3 月、CERN (欧州原子核研究機構) のソフトウェアエンジニアとして「Information Management: A Proposal」という文書を上司に提出。これが WWW の原型。当時 CERN には世界中から研究者が集まり、各自が異なる OS (Unix / VMS / Mac) を使っていて、文書共有が困難だった。彼の提案は「OS や場所に依存せず、文書同士をハイパーリンクで繋ぐ」というシンプルなアイデア。当初は「曖昧だが面白い」という曖昧な評価で承認、空き時間で実装を進めた。

WWW の誕生 (1990-1991)

1990 年末までに、彼は 4 つの基礎技術を完成させた: (1) URL (Uniform Resource Locator) — 文書の住所、(2) HTTP (HyperText Transfer Protocol) — 文書取得の通信規約、(3) HTML (HyperText Markup Language) — 文書記述言語、(4) WorldWideWeb という名前のブラウザ兼エディタ。NeXT コンピュータ上で動く実装を、1991 年 8 月 6 日にインターネット上で公開。これが 「インターネット上で初めての Web ページ」。情報量はわずかだったが、世界初の Web サイトの URL `info.cern.ch` は今も生き続けている (https://info.cern.ch/)。

特許化を断った決断

1993 年、CERN は彼の提案を受け、Web の技術をロイヤリティフリーで公開 することを決定。もし特許化していれば、Web は限られたライセンス料を払える企業しか使えず、現代の爆発的普及は無かった。この決断こそが、Web の最大の遺産 とも言われる。「Web は誰のものでもない、皆のもの」という思想が、彼の哲学の核。

W3C と Web 標準

1994 年、MIT (マサチューセッツ工科大学) に W3C (World Wide Web Consortium) を設立し、所長に就任。HTML / CSS / XML / WCAG (アクセシビリティ) などの Web 標準策定を主導。商用利用が広がっても「標準は中立的に」という原則を貫いた。2004 年には英国王室から ナイト爵 (Sir) を叙勲、2016 年には ACM Turing Award (コンピュータ科学のノーベル賞) を受賞。

近年の活動:Solid プロジェクト

近年は「現代の Web は GAFA に支配されすぎ、ユーザーが自分のデータを失っている」と問題提起。2018 年から Solid プロジェクト を立ち上げ、個人データを各自が管理する分散 Web を構築中。「Web を作った本人が、現代 Web の問題を解決しようとしている」という構図。

5. なぜ今も重要か

  • Web の上で動くもの: SNS / EC / 動画配信 / 銀行 / 政府サービス、すべて
  • Web 標準の中立性: 1 社が独占しなかったから、Apple / Google / Microsoft 等が共存できる
  • 情報アクセスの民主化: 図書館や大学に行かなくても、世界の知識にアクセスできる
  • 経済への影響: Web 経済は世界 GDP の数 % に達するとも言われる

6. もっと知りたい人へ

  • Wikipedia (日本語): ティム・バーナーズ=リー
  • 世界初の Web ページ (現存): https://info.cern.ch/
  • W3C 公式: https://www.w3.org/
  • Solid プロジェクト: https://solidproject.org/
  • 著書: 「Web の創成」(毎日コミュニケーションズ、1999)

7. 次の話

EP.02 では アラン・チューリング を扱います。コンピュータそのものの理論的な「父」、第二次大戦でドイツの暗号を破った天才数学者です。

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