「うちは Excel で何とか回ってる」と仰る企業さんは、いまでも多い。実際、ある程度の規模までは Excel で十分に回ります。問題は、人手の限界を超えたとき。月次レポートを作るために、毎月3日かけて10種類のExcelをマージし、関数の壊れを直し、最終形をPowerPointに貼る…という運用は、規模が拡大するとそのまま組織のボトルネックになります。
「データ基盤」の前に、何が起きているのか
私たちが Excel依存からの脱却を支援するとき、最初にやるのは「現状の業務フロー観察」です。ヒアリングではなく観察。実際に集計担当者の隣に座って、何をどうコピペし、どのフィルタを使い、どのファイルをどう開いているか、メモを取るところから始めます。
観察すると、必ずと言っていいほど「同じ作業を毎月ている」ポイントが見つかります。そこが最初の自動化ターゲットです。「データ基盤を作る」と大上段に構えず、月次の手作業を1つだけ自動化することを最初のスコープに置きます。
最初の3週間でやることは、たった3つ
- 1現状業務マップを1ページにまとめる(誰が、どのデータを、何のために、どう加工しているか)
- 2「これだけ自動化できれば月N時間削減」という単一ターゲットを決める
- 3最小構成のDWH(BigQuery 無料枠で十分)に1テーブルだけ入れて、Looker Studioで見られる形にする
最初から全データソースを入れようとすると、半年経っても運用に乗りません。1テーブル・1指標・1ダッシュボードから始めて、現場の人が毎日見る状態を作ってから次へ進みます。
で現状業務マップを作る
業務観察のメモから業務マップを起こす作業は、Claude Code に下書きを任せると効率的です。ヒアリング録音の文字起こしや手書きメモを渡して、構造化してもらいます。
以下は経理部の月次集計担当者へのヒアリングメモです。
これを業務マップとして整理してください。
出力形式:
1. 入力データ(誰が、どこから、どう取得するか)
2. 加工ステップ(順番、所要時間、使うツール)
3. 出力物(誰に、いつ、どう届けるか)
4. 失敗ポイント(過去エラーが起きた箇所)
5. 自動化候補(最も時間を食っている部分の上位3つ)
メモ:
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(ヒアリングメモ全文を貼る)
---# 経理部 月次集計 業務マップ
## 1. 入力データ
- **基幹DB(PostgreSQL)**:田中さんが第3営業日にCSV出力(10〜15分)
- **会計freee**:山田さんがブラウザからExcel DL(5分)
- **営業SFA**:佐藤さんから前月実績Excelをメール受領(依頼〜受領で1〜2日)
## 2. 加工ステップ
1. 受領Excel × 4ファイルを統合用ブックにペースト(30分)
2. VLOOKUP で部署マスタ突合(崩れチェック含めて60分)
... (続く)
## 5. 自動化候補
- **第1優先**: 部署マスタ突合のVLOOKUP(毎月60分・最も壊れる)
- **第2優先**: SFAからの前月実績取り込み(依頼〜受領のリードタイム)
- **第3優先**: 月次PowerPoint化(30分・データ更新時に毎回手作業)実装: + で1テーブル
現状把握ができたら、最初の自動化に着手します。例えば「SFAの前月実績Excelの取り込み」を選んだ場合、まず BigQuery に raw テーブルを1つ作り、/Excel をアップロードする運用にします。最初は手動アップロードでもOK。
-- BigQuery: 月次SFA実績の取り込み先CREATE TABLE `hukuhuku_dwh.sfa_monthly_raw` ( yearmonth_date DATE, -- 月初日付(例: 2026-04-01) department STRING, customer_id STRING, amount NUMERIC, loaded_at TIMESTAMP DEFAULT CURRENT_TIMESTAMP())PARTITION BY DATE_TRUNC(yearmonth_date, MONTH)CLUSTER BY department;ここまでで、「Excelで作っていたピボット集計」を Looker Studio で再現できれば、最初のマイルストーンは達成です。1ヶ月後に「もう手作業に戻れない」状態になっていれば成功。次のターゲットへ進みます。
次回予告
EP.02 では、最初の選定で迷う3つの軸(コスト・運用・採用)を、BigQuery / / Redshift の現実的な比較で解説します。
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